わたしたち人間は、必ず死というものに直面します。老若男女問わず、遅かれ早かれ死は起こりうるものですよね。人間の最期のカタチは、人によりさまざまです。人の最期には、布団の上でご家族に看取られながら安らかに亡くなる方もいれば、孤独死という形で苦しみの果てに倒れて亡くなっていく方もいます。
このように、人間の命がひとつ消えるということは、生きていた体が遺体として残り、使っていた愛用品が遺品としてが残り、亡くなった方のご家族がご遺族となって残されていきます。残されていったものは、必ず遺体処理をして片付けていかなければなりません。
その遺体を誰が処理するのかと言うと、残されたご遺族や住んでいたお家の管理人さんが、片付けをして処理していくことになります。しかし、単なる片付けと思って取りかかるには、大きなリスクがあります。今回はこういった片付けを特殊清掃の業者に任せるワケがあることについてお話していきます。
孤独死の遺体処理の現実
まず、心拍と血流が停止すると、人間が亡くなった状態になります。亡くなった後、早くて20分から30分後、または1時間後には、内臓系の自己融解が始まります。このようにして遺体は死後変化をしていきます。
死後硬直や腐敗を経て行く過程で、腹部にガスが溜まり腸内部の排泄物を押し出して排泄し、また耳や鼻などといった内部と外部をつなぐようなところから体液などが漏出してしまいます。
遺体の放置されている日数が経過していくにつれて、腐敗臭も充満していき、真菌や細菌などが侵食していきます。また、遺体にハエが産卵して孵化すると、遺体を食べて成長していくため、遺体が菌やハエなどによる食害を受けることになります。
更に腐敗し続けていくと、皮膚や肉はドロドロに液状化し始めていき、最終的に骨となります。これが「白骨化現象」です。きちんと看取ってもらうことができ、葬儀や埋葬ができた遺体については、ここまで進むことはありませんが、孤独死や自殺、他殺などで放置されてしまった遺体に関しては、どの過程で発見されるかわかりません。
孤独死は特にですが、キレイに亡くなった姿で遺体をみるというよりは、変わり果ててしまった姿で遺体をみることになります。発見されて変わり果ててしまった遺体は、警察の方が搬出してくれますが、残った体液や血液の痕跡、臭い、そこに群がる虫や菌の処理はしていってはくれません。
このように、残されたものの片付けをして処理していくことを、「遺体処理」といい、これを請け負ってくれるのが特殊清掃の業者なのです。
■遺体処理で受ける健康的被害とは?
変わり果ててしまった遺体が搬出されていても、そこに遺体があるかのごとく体液や血液の痕跡が残り、腐敗臭が漂い続けます。また、細菌や真菌という目には見えない菌が繁殖しているため、決して衛生的な場所とは言えません。
それらの菌類は、呼吸をしているだけで体内に取り込んでしまい、健康を害してしまうリスクがあります。そして、最近では新型コロナウイルスというウイルス感染症が流行していることからもわかるように、もし遺体がウイルス感染していた場合、処理を間違ってしまえば自身もウイルス感染をしてしまいます。
こうした健康的被害を軽くみていると死の危険性があるため、孤独死などの遺体処理は細心の注意を払う必要があります。
■遺体処理で受ける精神的被害とは?
親しい人間の変わり果てた姿を目にすること、そこに遺体としていた痕跡を目にすることは、非常に辛く、苦しく、悲しい現実に触れることになります。
ご遺族の精神的負荷は計り知れません。そんな辛く、苦しく、悲しい痕跡を自らの手で片付けていくものほど、切ない気持ちになるものはありません。生前を知っているからこそ、その場所に遺体としていた現実に多く触れるのは、とても厳しいことです。
悲惨な現場を目にすることすら抵抗のある方が多いため、基本的には孤独死などの遺体処理をご遺族が行うことが少なく、特殊清掃のプロに任せることが多いのが現状です。
孤独死等の遺体処理のプロ「特殊清掃業者」
孤独死や自殺、他殺などで現場に残された遺体の処理や片付けをするプロというのが「特殊清掃業者」です。遺体現場には、目に見えないさまざまな細菌や真菌から遺体から漏出した体液や血液、肉片に群がるネズミや害虫がいます。
不衛生な場所に入って遺体処理の作業をするためには、ゴーグルや防護服を着用して、感染症にかからない、広めないという努力をしています。その上で、遺体現場の害虫駆除や除菌、消臭を行っています。
■遺体がないのに分かる現場
孤独死のようにさまざまな理由で放置されてしまった遺体は、警察により搬出されますが、そこに今も居るかの如く、体液や血液の痕跡が残っています。
布団の上や床の上で寝たきりの状態で亡くなっていたであろう形跡やトイレやお風呂で急に倒れてしまった形跡、玄関で助けを求めて力尽きたであろう形跡など、その人の最期を物語るように、体液や血液の染み込んで濃く残っているのです。
そういった形跡をもとに、倒れた場所や形などで遺体がなくとも想像できてしまいます。このような現場にご遺族の方々が入っていくのは非常に辛いことです。悲しみや驚きで事実を受け入れられないご遺族に代わって、丁寧に遺体処理を行なうのが特殊清掃員の役割であり仕事なのです。
■特殊清掃に取り掛かるまで
遺体を調べて死因が確定した後、遺体発見現場へ入る許可が出たら特殊清掃の出番です。孤独死の場合は特にですが、発見された時点で、すでに遺体の腐敗具合はかなり進んでいることが多いです。
特殊清掃員が遺体現場へ入れるようになる頃には、辺りに染み込んだ体液や腐敗臭は、一般の方が自力で片付けられるほど容易に落ちるものではなくなっています。
ご遺族などから依頼をお受けしてから、見積もりをして清掃へ取りかかるのが一般的な特殊清掃までの流れとなります。
特殊清掃の内容・流れ
特殊清掃の内容としては、まず遺体から出る臭いにつられて、ハエやゴキブリ、ネズミがやってくるため、それらの害虫や害獣の駆除から始めます。遺体から発生した目には見えない病原菌を外へ運んで広げてしまう恐れがありますので、漏れのないようしっかり害虫・害獣を駆除していきます。
遺体現場が室内ですと、ハエやゴキブリ、ネズミなどを狙うものがいないため、みるみるうちに繁殖していきます。ハエやゴキブリ、ネズミなどは、物理的に目に見えるものなので、見た者に衝撃的な印象を与えてしまいますが、これを駆除していかなければ近隣の方に迷惑がかかってトラブルになってしまいます。
次に遺体の消臭です。臭いで遺体の発見につながっていくほど悪臭が強く、嫌気な臭いとなってしまいます。これも近隣トラブルにつながっていきますので、早急に対処したいものです。孤独死など遺体発見に時間がかかってしまう場合、腐敗が進み遺体から漏出した体液や血液は、床に染み込み床下にまで達することがあります。
このように、腐敗臭や死臭は深く染み付いており、なかなか取ることができません。そのため、オゾン脱臭や特殊な消臭剤など、特殊清掃ならではの専門的な消臭・除菌作業をしていきます。それでも、消臭されない場合、床や壁などを撤去していき、最終的にはリフォームする必要が出てくることもあります。
遺品の整理などを行い、原状回復ができる状態にして作業終了となります。特殊清掃のノウハウは、今流行りの感染症の消毒やゴミ屋敷の消臭、火災現場の消臭や害虫駆除、ペット消臭や糞尿除去、タバコの消臭など、さまざまな除菌・消臭を行なうことができます。
まとめ
死に向き合う特殊清掃員は、亡くなった方に対して敬意を払い作業しています。ご自身でこのような特殊清掃を行なうことは、時間・体力・気力ともに大きな負荷がかかってきます。
自身の健康的、精神的苦痛を特殊清掃のプロに任せることにより、少しでも軽減していただきたい。そのような気持ちで特殊清掃員は日々の仕事に勤しんでいます。
上記のような特殊清掃や遺体処理などの問題で困っているという方は、特殊清掃業者を利用してもらうことが一番早く対処できる最善の策です。
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